Top > Others >> アマチュア無線局再免許申請など
釣りやボートのHPとしては唐突ですが、アマチュア無線局の「再免許申請」およびリグ交換等による「設備等変更申請」について簡単に解説したいと思います。
エンジン・トラブルなどで漂流し、救援等の非常連絡をするとき携帯電話がよく使われます。メディアとしては手軽で便利なのですが、半島先端の海上などでは「圏外」であることがしばしばあります。この場合、往来の他船に救援を依頼する以外手はないのですが、船舶無線があると非常時に重宝します。長さ12m以上の沿海を航行する小型船舶には無線設備が必要ですが、それ以下の小型船舶に義務づけはありません。
以前から何かよい通信手段はないかと考えていたのですが、今から30年余り前に取得したアマチュア無線免許があるのを思い出しました。しばらく遠のいていて、免許状も一時期失効していましたが、15年ほど前からは「無線局免許状」だけは生きている状態を維持しています。ボートを取得したのを機会に、新しいハンディ・リグも購入し、非常用も兼ねて釣行にお供する事にしました。この目的はアマチュア無線の目的と若干ずれるかもしれませんが、アマチュア無線業務の延長として利用できるかと思っています。(※詳しい方がいらっしゃれば、ご連絡ください。)
リグを購入したものの、ウォッチばかりで実際の運用はしていなかったのですが、2002年9月に現「無線局免許状」が失効(有効期間 5年、失効 1ヶ月前以前に再免許申請が必要)するので、再免許の申請が必要になりました。今度も「JARL」の申請用紙を買ってきて申請しようと思っていたところ、知人から「今はFD(フロッピー・ディスク)で申請(FD申請)できるらしいよ...」という情報を得、早速挑戦する事にしました。
今回、失効期限の迫っている「無線局再免許申請」を済ませ、続いてリグ変更による「無線局設備等の変更申請」を行ったので、その手順を紹介したいと思います。FD申請を併用すると記入漏れもなく思いのほか簡単に手続きできるので、是非利用されるとよいと思います。
なお、以下の記述は 2002年 8月現在のものです。プログラムの改編や手続きそのものの変更等予想されますので、FD申請の公式ページ http://www.tele.soumu.go.jp/j/download/index.htm:総務省をご覧になり、申請用プログラム ATFD のヘルプなど、最新の情報を確認してご利用ください。
無線局再免許申請をFD申請で行える事を知って、総務省のHPから申請用プログラム(ATFD)を入手しました。再免許申請の場合、「無線局再免許申請書」に申請手数料 2,900円(アマチュア無線局の場合)の収入印紙を貼付する必要があり、書面による申請が基本となります。したがって、実際の申請には、FDに保存した「無線局再免許申請書」「事項書/工事設計書」等とは別に書面による「無線局再免許申請書」(収入印紙を貼付し、氏名欄と捨印欄に捺印したもの)が必要になります。
今回、この重複が面倒に思われたので、FD申請用プログラムを使って必要事項を入力した後、内容確認用に印刷できる各申請書をそのまま利用し、申請書に印紙貼付および捺印をして提出しました。純粋なFD申請ではないのですが、再免許申請の場合はこちらの方が楽に思えます。なお、純粋にFD申請を行う場合に添付する書面申請書の雛形も以下で提供していますので、ご利用ください。
FD申請プログラムを利用するにあたり、以下のURLからプログラムを入手します。
いくつかの申請プログラムが提供されていますが、アマチュア無線局のFD申請に必要なのは「AT FD作成プログラム」(ATFD.EXE)のみです。なお、執筆時点では、2002.08.05版、Ver.1.51、atfd_1_51.exe、サイズ 5.39MB が入手できました。電波法施行規則の改正や市区町村コードの改訂などにともない頻繁にバージョンアップが行われていますので、最新のバージョンを入手しましょう。OSは、Windows95〜WindowsXPまでの全てに対応しています。ファイル名は「atfd_バージョン番号.exe」のようになっていますが、以後の説明では「ATFD.EXE」とします。
2004年10月11日
「申請FD作成プログラム」のダウンロード方式が SSL(Secure Socket Layer)通信方式に変更されました。プログラムを入手するためには、あらかじめ「安全な通信を行うための証明書」を入手する必要があります。「安全な通信を行うための証明書」とはプログラムを入手しようとしているサイトが総務省のサイトであることを証明するものであり、申請者とは暗号化通信が行われます。
証明書の入手および設定は 電子申請・届出システムを初めてご利用される方へ で説明されていますが、手順を要約すると以下のようになります。
入手した「ATFD.EXE」をExplorerなどで確認し、それをダブル・クリックすると解凍先を聞かれます。標準の解凍先は C:¥instfd¥at ですが、任意のフォルダーを指定することも出来ます。[OK]をクリックして解凍されると、指定したフォルダー内に「SETUP.EXE」が作成されます。今度は、この「SETUP.EXE」をダブル・クリックしてインストール・プログラムを実行します。セットアップ・ウィザードが起動し、インストールが始まります。指示に従ってマウス・ボタンを数回クリックすると、インストールが完了します。
標準でインストールをすると、C:¥Program Files¥MPT¥FdPgm¥ATFD 以下にプログラムがインストールされます。インストールが完了したら、「SETUP.EXE」が作成された解凍用フォルダーは全て削除して構いません。
FD申請プログラムがインストールできたら、いよいよ申請事項の記入になります。プログラムを起動する前に、次のものを準備しておきます。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/material/feestab.htm:総務省
インストールが完了すると、[スタート]メニューに[FD作成プログラム]−[ATFD作成プログラム]が作られますので、メニューから起動します。なお、今回行った申請局数は1局のみです。多数同時に申請する場合は、追加して同時申請できるようです。
起動すると、[申請事項][申請者][申請手数料]の三つのタブが表示されますので、最初の[申請事項]から順に埋めていきます。
以上を入力したら、[追加]ボタンをクリックします。「手数料合計額」が自動計算されるので、[収入印紙額]に[手数料合計額]の金額を入力します。全ての入力が完了したら、[登録]ボタンを押します。[登録]ボタンを押すと、[事項書/工事設計書情報]のタブが新たに表示されます。
[事項書/工事設計書情報]ページから[事項書新規]ボタンをクリックします。あたらに「無線局事項書第二号の八」というウィンドウが表示されますので、各タブをクリックして、順次入力していきます。
以上の記入が完了したら、忘れずに[登録]ボタンを押します。また、この時点でフロッピー・ディスクに保存します。[ファイル]メニューから[名前を付けて保存]によりフロッピー・ディスクに保存します。ファイル名はアルファベット8文字以内が良いでしょう。(例:saimen)
データは 12〜13個のファイルに分けて保存されます。
※「ATFD.EXE」のデータはハードディスクにも保存できますが、フロッピー・ディスクへの保存を前提にしているようです。(FD申請だから?) また、あまり深いフォルダーや漢字を含んだフォルダー名では正しく作動しないことがありました。「ATFD.EXE」使用中はフロッピー・ディスクでデータの保存を行い、バックアップ用にハードディスクへコピーするようにした方が使い勝手が良さそうでした。
今回、完全なFD申請を行わなかったのですが、FD申請をする場合の説明を先にします。
FD申請では、
を管轄の総合通信局へ郵送します。総合通信局の所在は、以下で確認してください。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/material/commtab1.htm:総務省
「送信系統図等添付図面」は原則として空中線電力 200Wを超える局(一部例外あり)の場合に必要となりますが、電子化できるものはFDに保存して申請する事が出来ます。詳しくは「ATFD.EXE」のヘルプをご覧ください。
別途添付しなければならない「書面による無線局再免許申請書」の雛形を以下に準備しましたので、ご利用ください。
無線局再免許申請書(書面雛形)(ウイルス・チェック済)
ダウンロードした自動解凍ファイルを実行するとWord文書が生成されます。適当に編集して利用してください。
また、「データを保存したフロッピー」には、
を記入したラベルを貼付します。
さて、今回は「完全なFD申請」を行わなかったのですが、それは「書面による無線局再免許申請書」を必ず提出しなければならないからです。この場合「無線局再免許申請書」が重複するのですが、「ATFD.EXE」を利用すれば提出する全書類を綺麗に印刷できます。そこで、「ATFD.EXE」により入力した内容を提出用の書類として印刷し、そのまま郵送する事にしました。手順は、「ATFD.EXE」の[オプション][内容確認]で申請書を印刷するだけですが、「印刷プレビュー」もできますので入力内容を再確認して印刷します。印刷すると、「無線局再免許申請書」(1ページ)、「無線局事項書及び工事設計書」(2ページ)が出力されます。印刷された「無線局再免許申請書」に申請手数料分の収入印紙を貼付し、氏名欄と捨て印欄(書類の左肩)に捺印します。また「無線局事項書及び工事設計書」の各ページにも捨て印を捺印します。以上の2書類と返信用封筒(返信用住所記入、返信用郵便切手貼付)を同封し、管轄の総合通信局へ郵送します。管轄の総合通信局所は、以下で確認してください。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/material/commtab1.htm:総務省
以上が今回行った「アマチュア無線局再免許申請」の概要です。書類を提出してから新しい免許状が届くまで、約2週間でした。今回、完全なFD申請ではなかったのですが、その申請プログラムである「ATFD.EXE」を利用すると記入漏れもなく、書類代金も不要となるので、今後は手軽に再免許の申請が行えそうです。
前述した再免許申請を終えてから、今度はリグの変更に伴う「アマチュア無線局の無線設備等の変更申請」を行いました。変更申請の理由は「送信機取り替えによる周波数の変更」です。今回は「ATFD.EXE」による完全な「FD申請」を行いました。
「ATFD.EXE」を起動すると、[申請事項][申請者]の二つのタブが表示されますので、最初の[申請事項]から順に埋めていきます。
以上を入力したら、[設定]ボタンをクリックします。入力内容が一覧に表示されます。続いて[登録]ボタンを押すと、[事項書/工事設計書情報]のタブが新たに表示されます。
「ATFD.EXE」の利用が始めての場合は[事項書新規]ボタンをクリック、既に事項書の記入がある場合は[既存事項書複写]ボタンを利用してFDデータを読み込みます。新規に入力する場合は、前述の「アマチュア無線局再免許申請の手順」を参考に変更後の内容で事項書等を記入します。FDで既存事項書を読み込んだ場合も、変更後の新しい内容で事項書/工事設計書を入力していきます。再免許申請時と異なり、新たに[変更項目]というタブが表示されますので、変更する項目をチェックします。記入が完了したら、[登録]ボタンを押して確定します。
続いて、[申請・届出]ボタンを押し、「申請・届出事項登録」を行い、変更申請する項目をチェックします。今回、「指定事項−周波数」および「送信機−取り替え」にチェックをしました。
以上の入力、チェックが完了したら、フロッピー・ディスクに保存します。[ファイル]メニューから[名前を付けて保存]によりフロッピー・ディスクに保存します。ファイル名はアルファベット8文字以内が良いでしょう。(例:henkou)
データは 12〜13個のファイルに分けて保存されます。なお、「ATFD.EXE」の[オプション][内容確認]で変更申請書を印刷しておくと確認のため便利です(「入力内容確認用」と明記されている)。
変更申請のFD申請では、
を管轄の総合通信局へ郵送します。総合通信局の所在は、以下で確認してください。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/material/commtab1.htm:総務省
「送信系統図等添付図面」は「技術基準適合証明番号」があれば必要ないようですが、無線機に付属の「送信系統図」のコピー(A4サイズ)を添付しました。
「書面による提出票」について、その雛形を以下に準備しましたので、ご利用ください。
提出票(書面雛形)(ウイルス・チェック済)
ダウンロードした自動解凍ファイルを実行するとWord文書が生成されます。適当に編集して利用してください。
また、「データを保存したフロッピー」には、
を記入したラベルを貼付します。
先に説明した再免許申請では「完全なFD申請」を行わなかったのですが、変更申請では「完全なFD申請」を利用しました。FD等を提出してから新しい免許状が届くまで約10日でした。期間も短いですが、手間も掛からず手軽に利用できました。
2002年 9月にこの記事を書いてから、色々な方からご連絡を頂きました。ここではお便りをいただいて気づいた補足などを書き加えたいと思います。
2004年 5月24日
本ページでは「無線局免許状」の再交付(更新)手続きについて、FD申請による方法を説明しました。その後、「無線局免許証」を紛失した場合の申請手続きについての問い合わせがありました。
無線局に関する各種の手続きについては、以下のサイトに詳しく記されています。
電波利用ホームページ(総務省総合通信基盤局)
この中で、免許証の再交付については、
無線従事者Q&A で解説されています。
「電波利用ホームページ」には多くの情報が掲載されているので目的の情報を見つけることが大変です。幸い [全文検索] サービスが提供されていますので、分からなくなったら利用すると良いでしょう。
2004年 8月23日
このページの中に「アマチュア無線機の非常用携帯」についての記述があります。この件に関して携帯する無線機の種類に対する問い合わせがありましたので、少し調べてみました。
まず、「アマチュア無線の非常通信」について、
電波法では「目的外使用の禁止等」の例外として非常時の通信が規定されています。
(目的外使用の禁止等) 《改正》平13法085
第52条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(放送をする無線局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。ただし、次に掲げる通信については、この限りでない。
1.遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
2.緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
3.安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
4.非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
5.放送の受信
6.その他総務省令で定める通信
52条の既定では「非常通信」と「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」が明確に分けられています。もしボートで非常事態となった場合は海難となり、「遭難」「緊急」「安全」中のどれかの通信となるようです。電信では遭難通信「SOS」、非常通信「OSO」と区別しています。ただ、実際の非常事態ではこの区別はあまり意味がないかもしれません。
ここで、アマチュア無線の場合の非常通信に話を戻すと、実際に「非常事態」となった場合には、以下の周波数が「非常通信周波数」として割り当てられています。
バンド | 電波の形式 | 周波数 |
---|---|---|
4630KHz | CW | 4630KHz(非常通信専用)*1 |
3.5MHz | CW、AM、SSB系 | 3.525±5KHz |
7MHz | CW、AM、SSB系 | 7.030±5KHz |
14MHz | CW、AM、SSB系 | 14.100±10KHz |
21MHz | CW、AM、SSB系 | 21.200±10KHz |
28MHz | CW、AM、SSB系 | 28.200±10KHz |
50MHz | CW、AM、SSB系 FM系 FM系 | 50.10MHz 51.00MHz(呼出周波数共用)*2 51.50MHz |
144MHz | CW、AM、SSB系 FM系 FM系 | 144.10MHz 145.00MHz(呼出周波数共用)*2 145.50MHz |
430MHz | CW、AM、SSB系 FM系 FM系 | 430.10MHz 433.00MHz(呼出周波数共用)*2 433.50MHz |
1200MHz | CW、AM、SSB系 FM系 | 1294.00 1295.00MHz(呼出周波数共用)*2 |
FM系ではモールス通信(F2)も可能
*1:4630KHzは非常通信連絡設定専用で、警察庁、自衛隊、海上保安庁等の行政機関と直接更新が可能
*2:FM系で呼出周波数(コールチャンネル)と共用の非常通信周波数は、呼出と応答の連絡設定に限られており、非常通信を継続する場合はFM区分内の他の周波数に変更しなければならない
上記の周波数帯で非常時の通信が行えますが、アマチュア局が非常時の通信を行う場合に、以下の点に留意しなければなりません。
以上がアマチュア無線局で非常時の通信を行う場合の概要です。非常時の通信が行えるのは、通常のアマチュア無線業務の中で「非常時の特例」として目的外に利用する場合だけです。したがって、非常通信のみを目的にアマチュア無線局を開設することは出来ません。
2002年 9月 1日 初版 |
2004年 8月23日 改訂1 |
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